DeNAの医療情報サイト「WELQ」が全記事を公開停止したようです

2019年7月18日

以前当サイトで指摘したWELQの問題ついて進捗がありました。

WELQが全記事を公開停止

ネット上での数々の炎上を受けてDeNAがWELQ全記事を非公開にすると発表しました。

welqが公開停止

現在アクセスするとWELQのトップページは1ページだけになっています。

ディー・エヌ・エー(DeNA)は11月29日、同社が運営する医療情報サイト「WELQ」の全記事を同日午後9時に非公開にしたと発表した。医学的知見を持つ専門家の監修がなされていない記事が公開されていたとし、「ご利用いただいている皆様には、多大なるご迷惑をお掛けしましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪。今後は専門家による監修体制を整えた上で、WELQ編集部名義で記事を掲載していくという。

引用: DeNA、医療情報サイト「WELQ」全記事を公開停止 「信憑性薄い」指摘受け

WELQはついにキュレーションという言い訳をやめて、WELQ編集部として再スタートするようです。
WELQ編集部と名乗ることでクオリティの担保が期待され、現在のような内容の責任な不透明な状態が解消されることが期待されます。

東京都が医療情報サイトへヒアリングを検討

このような状況の中で東京都が動き出すという情報が入りました。

この件に関して政治家の方も動かれているようです。

 「不正確な情報が掲載されている」と問題になったディー・エヌ・エー(DeNA)の医療情報サイト「WELQ」を、東京都も問題視していることが分かった。都福祉保険局は11月28日、「WELQに問題がある」と判断し、DeNAの担当者に来庁を依頼。医薬品に関する不適切な情報を掲載しているほかのサイトへの対応も検討しているという。

引用: 東京都、WELQ問題でDeNAを 呼び出し 「同様な他サイトへの対応も検討」

WELQの問題は思いの外大きくなり大変なことになりました。WELQの件により行政が動く可能性が生まれてきました。
今回の件で行政による下手な介入や規制が行われれば、ネット上の表現の自由や商業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。

このあたりの動きは注意深く見守っていく必要があります。

WELQにトドメを刺した記事が公開

炎上していたWELQにトドメを指したのは、BuzzFeedの記事のようです。
内部への取材でDeNAの手法を明らかにしています。

誰でも記事を書ける「キュレーションメディア」を謳うことで、DeNAは記事の内容に責任を負わないとしている。各記事の末尾にはこう記されている。

当社は、この記事の情報及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

しかし、BuzzFeed Newsの取材に応じた社員やライターは、実態はWELQ編集部、つまりDeNAの事実上の指導のもとに大量の記事が書かれている、と証言した。

引用: DeNAの「WELQ」はどうやって問題記事を大量生産したか 現役社員、ライターが組織的関与を証言

BuzzFeed Newsの取材により、WELQの記事はキュレーターが自主的に書いたものではなく、DeNAの指導で大量の記事が作成されていることが判明しました。

おそらく、ブログやこの手のキュレーション系Webライティングの仕事に携わったことがある方なら、WELQの記事が素人によるキュレーションではなく、DeNA内部でライターを抱えて書かれているとすぐにわかるでしょう。

私も実際にそのような仕事をしたことがありましたので、DeNA系のキュレーションメディアですぐ記事が内製されている察しがつきました。
ライターをきちんとディレクションしなければ、WELQのようなクオリティに記事を揃えることはできないからです。

最初に外部からWELQの問題を指摘された際に、DeNAはキュレーターの作成した記事だったのでチェックしていなかったような趣旨の発言をしていたので、正直バレるのはもうちょっと時間がかかるかなと考えていました。しかし、BuzzFeed Newsの取材で組織的な手動が暴かれたのは素晴らしいことです。

いまさらですが、キュレーターの記事だったからチェックできなかったなどという言い訳をしたDeNAは下手を打ったことになります

DeNAの医療情報サイト「WELQ」が全記事を公開停止したようです まとめ

現在、WELQは記事を公開停止することを選択しました。いろいろなところから集中砲火されて対策を考えているようです。

WELQの手法はパクリだと叩かれていますが、恋愛や占い、旅行などさほどクリティカルではない分野に関してはさほど問題ないのではないかと考えています。実際のところMERYはこの手法で新市場を築いた経緯がありますし、ライトなコンテンツを楽しみたいユーザー層に対しては有効な手法と言えます。

ただ、医療分野のようなクリティカルな分野への配慮不足や、内製の記事にもかかわらずキュレーターに責任転嫁するなど、不誠実な態度やモラルに欠ける行動は大きな問題です。インターネット業界でMERYのような成功モデルを出しながら、WELQでまずい形で失敗するということになり、今回の結果行政指導などに繋がれば業界への悪影響が懸念されます。DeNAのような新興企業は積極的に新市場にチャレンジしていますから、チャレンジする社員にペナルティを与えたくないと考えているかもしれません。

しかし、このようなモラルに欠ける行為は、短期的な利益に目を奪われ、組織だけでなく業界にも悪影響を及ぼす非常に危険な行為です。DeNAは責任者を明確にし、処罰や配置転換するなど、具体的な改善策を考えると良いでしょう。

インターネット業界にいる方、もしくはインターネットを閲覧している方は、今回の件のようなインターネット上でモラルの欠ける行為に関しては注視しておく必要があります。モラルに欠ける人が追い出していかないとインターネット自体が良くならないからです。

WELQは編集部の記事として新しくメディアをスタートするということですので、専門家に依頼することによってライティングコストは20〜30倍になるかもしれないものの、きちんと対応していけばユーザーにメリットのあるメディアになっていくのではないでしょうか。