[死にたい]でSEOされたwelq(運営:DeNA)の問題について

2019年10月29日

DeNAが運営するwelqが作成している記事が問題と指摘されていました。
死にたい」というキーワードを検索されるとGoogleの1位に表示される記事で儲けようとしているようです。

DeNAが「死にたい」で儲けようとしていることが指摘される

SEOで有名な辻正浩さんがDeNA運営のWelqに問題があると指摘をされていました。
こちらのTwitterまとめをご覧いただければと思います。

DeNA社が運営するキュレーションメディアwelqのとページは、[死にたい]と検索された際に上位表示されるようにSEOを行っています。それで集客してアフィリエイトで儲けようとしているのです。自死関連の情報の公開は内容によってはそれを促進してしまうため非常に難しいものですが、Welqのページはその配慮もなく大きな問題がありました。

引用: 死 にたいでSEOされたwelq(運営:DeNA)の大きな問題

企業は営利目的でサービスを運用していますから、広告を出したりすること自体は問題ないと思います。ただ、まとめた情報からの不利益リスクは閲覧したユーザーに任せられている点が問題です。

デリカシーにかけるとありますが、医療などの専門分野に関しては、welqのような不特定多数のよくわからない人の書いた記事を量産する手法がそもそも適していないでしょう。やるなら、医療分野の専門家に高単価の記事を執筆してもらう手法が良いです。例えば、日経MedicalやAllAboutのような戦略ですね。

医療情報が大量投稿されているが根拠は不明

辻さんの指摘を受けたのか他のメディアもwelqの問題に関して記事にしています。

検索結果の最上位に表示された記事には、著者のおすすめ市販薬と、咳が止まらない時の対処法などが書かれている。
著者のプロフィールには「美容・健康に目のない私。お役立ち情報をお届けします」とある。医療の専門家ではなく、なにかを調べて記事にまとめたようだが、その情報の出所は明かされていない。
サイト内にあるほかの記事には、水素水を「がんを始めさまざまな病気を予防する水」としたり、ブラックシードを「死以外のあらゆる病を癒す薬」として紹介したりするものもあった。

引用: その記事、信頼できますか? 無責任な医療情報、大量生産の闇

要するに何か書いているが根拠は乏しくリライトしていると言うがほぼまるごと転載しているだけで、執筆者のアイデンティティも不明というのが問題ととれます。

SEO対策された記事の問題点とは

こちらの記事ではよりSEO対策をされたサイトのよりクリティカルそうな事例についてまとめられています。

ケース1:「胃がん」の検索結果で上位に表示されるサイト

こちらのサイトは「胃がんの原因はとにかくストレス」という説明で、最終的にカウンセリング予約に誘導しています。

引用: ネットの“ニセ医学”に要注意! 自衛手段を現役の医師に聞いてみた

カウンセリング予約に誘導すること自体は別に問題ないと思いますが、この手のリライトやキュレーションサイトの問題は情報の出処も曖昧で責任が不明瞭な点です。

例えば、この人生改善ノートならば書き手の情報を公開していますし、このサイトの主張という体で書いています。これは私としては納得できます。

しかし、キュレーションサービスのキュレーターは存在するかよくわかりません。正直welqのキュレーターは全員DeNAに雇われた社員かもしれません。かなり不透明な状況です。

追記:welq問題についてブログによる指摘が増加中

インターネット上でWelq問題について言及するメディアやブログが増えてきています。
やはりそれだけ大きな問題ということです。

つまりは、ユーザーに役立つという視点ではなく、検索されやすいキーワードを徹底して調べ上げて、とにかくライター(じゃなくてパクリ屋)にそれについての記事を書かせる。内容の真偽は全くチェックも精査もしない。かなりキーワードについての細かな指示が出ているのが分かります。しかし責任回避のために「キュレーターが勝手に書いてるので内容には責任は負わない」と明記する悪辣さ。ウェルクの常套の言い回しは
××と、いわれてます
ひどいのは1本に凄い数の「と、いわれています」が出現する。そんなの誰も言ってない。言ってるのはあんたたちだけだ。ということです。出典は書かない。書いてもリンクしない。コピーはまるパクリ。ちなみにわたしのクライアントも盗用被害を受けています。

引用: DeNAがやってるウェルク(Welq)っていうのが企業としてやってはいけない一線を完全に越えてる件(第1回)

welqではいわれていますを多用しているものの、ほぼ盗用で出典が書かれていないという指摘がされています。
この書き方は巧妙な書き方です。言われているのであって真実かどうかは責任を取らないと言っているともとれます。
つまり、リライト記事ですから書いている人も詳しくはわからないのでしょう。

このようにWelqのような運用方針のキュレーションメディアへの指摘が増えてきていることは良いことと感じています。

[死にたい]でSEOされたwelq(運営:DeNA)の問題についてまとめ

Meryで有効になった手法をDeNAが見境なくやっている問題の指摘についてコメントしました。
私はこのようなキュレーション手法は、今後どんどん真似られ増えてきて問題も多く発生すると考えています。私のこの記事も含めて多くのブロガーもキュレーション手法のようなやり方で記事を書いていますし。

DeNAがこの手のキュレーションサービスを始めたときに、私は医療や鬱やパワハラなどクリティカルな分野には触れずに参入してこないと考えていました。上記の記事でも指摘されているように1企業が記事に含まれる情報のリスクを計測するのは難しいと考えたからです。

おそらくWelq運営者は単純に数字が取れそうなところを全てやりつくす方針で検索エンジン対策をしているのでしょう。今後も同じノリで非難されるような記事を増やしてくると思います。

そもそもGoogleなどの検索エンジンは、検索された結果の情報に対し有用かつ公正であると一定以上の信頼があるため多くの人に利用されています。

しかし、Googleの検索結果に不信が高まると検索エンジン自体への不満にも繋がるはずです。
このような状況が続くと将来Welqのようなキュレーションサービスには、社会的あるいは検索エンジンからのペナルティなどなんらかの制裁が加えられる可能性もあると思います。キュレーションサービスの動向は注目です。

この件に関して進捗があったようなので、DeNAの医療情報サイトWELQが全記事を公開停止したようですを書きました。